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"ジャガー・ルクルト「アトモス」の類稀な物語。宙で時を刻む "

ジャガー・ルクルトのクロック「アトモス」は1928年に誕生しました。ほかに類を見ないこの時計は従来の動力源や再度の巻上げを必要とせずに何世紀にもわたって動き続けます。 1930年以来、ジャガー・ルクルトは、マニュファクチュールの時計製造技術を活かして、技術的改良を続け、その独創的な才能を活かして、高く評価される芸術作品にまで高めています。 2022年、ジャガー・ルクルトは、類稀な芸術家や職人を取り上げた15の展覧会によって、ヨーロッパの最高のクラフツマンシップを称えるイベント「ホモ・ファベール」に、この「アトモス」を出展します。 時計製造における卓越したノウハウで選ばれたジャガー・ルクルトは、「Genealogies of Ornament」(装飾の系譜)展にて、時計製造と装飾芸術における複雑な職人技やこれまでに培われてきた専門性を紹介します。時間を計測する機械であり、同時に芸術的な傑作でもあるアトモスは、スイスのクラフツマンシップと創意の象徴として世界で認められています。「ホモ・ファベール」は、ヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マッジョーレ島で2022年4月10日から5月1日まで開催されます。  1928年に誕生して以来、アトモスは、メカニズムの美しさだけではなく、その神秘的な動きで人々を魅了してきました。 人類は、外部からのエネルギー源を必要とせず、自律的に永遠に動き続ける装置-永久機関-にずっと憧れを抱いてきました。しかしながら、これまでそうした機械の発明は実現していません。その理由は単に物理的に不可能だからです。 しかし、ジャガー・ルクルトは、これまでに誕生したどんなメカニズムよりも永久機関に近い装置「アトモス」を生み出すことに成功しました。宙で時を刻む 1928年、ヌーシャテル生まれの放射線技師のロイターが、置時計のプロトタイプを発表しました。現在ではアトモス0として知られているこのプロトタイプは、物理の法則に逆らうような機構を有していました。電池も電気も、定期的な巻上げも必要とせず、摩耗することも、外部からの介入も無しに、数百年も作動し続けることができる時計でした。 アトモスの背景にある機械的な原則は極めて単純ながら、その実現は大きな課題でした。置時計を作動させるのに必要とされるエネルギーは、日々の気温の変動によって供給されます。熱エネルギーが、機械的なエネルギーに置き換えられ、それがテンプの動きを作動させるというものでした。その秘密はガスを密封したカプセルにあります。このカプセルは、膜によって時計の駆動ゼンマイに接続されています。わずかな温度変化によってガスの体積が変化し、膜がアコーディオンの蛇腹のように「呼吸」して膨張・収縮し、ゼンマイを巻き上げます。気温がわずか1度変わるだけで、置時計は48時間分の動力を得ることができます。 このシステムは非常に優れていますが、ごくわずかな動力しか生成しないため、ムーブメントの消費する動力も同様にできる限り少なくなければなりません。実際、その消費量は極めて小さく、アトモスの置時計の消費量は、15ワットの白熱電球1個の消費量の6000万分の1です。メカニズムは、ねじれ振り子により時を刻み、金属を円形にして作ったテンプは、ニッケルを中心とした合金 エリンバー製の細いワイヤーから吊り下げられています。この環状のテンプが1回の振動に要する時間は1分。それは一般的な腕時計が必要とするエネルギーのわずか40分の1です。プロトタイプから珍重されるオブジェに ロイターがそのプロトタイプを発表した2年後の1930年、アトモスⅠの最初のモデルが販売されますが、技術的な問題があり、製品化および製造はすぐに中断してしまいます。 パリのある店で、アトモスを偶然目にしたジャック・ダヴィッド・ルクルトは、独創性のあるそのメカニズムに魅せられ、それを購入します。彼はロイターのコンセプトは優れているものの、メカニズムに問題があることをすぐに理解し、その問題は卓越した時計製造技術で克服できるだろうと考えました。マニュファクチュールがロイターに連絡を取ると、喜んだロイターはすぐにル・サンティエの工房を訪れ、ジャック・ダヴィッド・ルクルトの元で「新しいアトモス」プロジェクトに参加することになりました。改良されたアトモスⅠを販売しながら、ふたりはさらにメカニズムを向上させ、製品として完成させたいという明確な目的を掲げます。 そして根本的な改善がもたらされました。まずはムーブメントを正常に機能させるために気密性を高め、ロイターが使用していた水銀を、より安定性の高い塩化エチルに変更しました。また、部品をすべて見直し、量産に適するよう、メカニズムをよりシンプル、かつ堅牢になるよう設計しました。そして1939年、ジャガー・ルクルトは、新しいキャリバー519の完成度に一定の満足を得て、 「アトモスII」の製品化を開始することになります。 アトモスは瞬く間に成功を収め、1950年にはスイス連邦の公式贈呈品として選ばれるほどになりました。1951年までに、年間の製造数は1万個に達し、1979年には50万個目となるアトモスがル・サンティエから出荷されました。 一定の成功は達成されたとはいえ、アトモスのメカニズムには制約がありました。エネルギーの生成量が極めて少ないため、別の機能を作動させるための動力は十分にはありません。ジャガー・ ルクルトは1982年に、新しいムーブメント、キャリバー540の搭載によりこの問題を解決させます。エネルギー消費を限りなくゼロに近くすることで他の機能の付加が可能となりました。マニュファクチュールのエンジニアたちは、1990年代の終わりに初めてムーンフェイズ機能のあるアトモスを開発し、その後、天球図、調速機構が外から見える文字盤、均時差表示などのコンプリケーションを搭載し、さらにはコンスタントフォース機構を持つ“ミステリークロック”も実現しました。 クラシックなデザインの変遷 アトモスは技術的な偉業であり、また芸術的な傑作でもあります。アトモスⅠのオリジナルモデルは、その“ガラスのドーム”の存在により、流線形でモダンなスタイルの基盤を作った極めて純粋な表現であり、今日の収集家たちの羨望の的です。そして、「アトモスII」のキャビネットは、時を経ても廃れることのないアールデコスタイルのラインと、直線的なデザインの絶妙なバランスにより、“ガラスボックス”のクラシックなフォルムの地位をしっかりと築きました。機能性とスタイルの完璧なる融合は、アトモスの数十年にわたる進化の中で、印象的なデザインのアイデンティティを支えてきたのです。合は、アトモスの数十年にわたる進化の中で、印象的なデザインのアイデンティティを支えてきたのです。 またアトモスのキャビネットは、時代の流れの中で、ごく自然にさまざまな芸術的影響を受け入れてきました。1970年代より、ジャガー・ルクルトは、才能あるデザイナーや専門技術を有した職人たちと力を合わせ、天文学的なコンプリケーションを含むアトモスの特別バージョンを生み出してきました。傑出したアトモスの作品の中でも、パリのデザインエージェントであるKohler & Rekowが1988年に考案したユニークなモデルをベースとして、1999年に新しいミレニアムを記念して作られた未来的なデザインの「アトランティス ミレニアム」、ハンドメイドによるキューブ型のバカラクリスタルに、メカニズムがぽっかりと浮かんでいるように見える、マーク・ニューソンによる 「アトモス 566」、そしてグスタフ・クリムトの絵画作品「接吻」を寄木細工で精巧に再現した2012年のアトモス・マルケトリーの「ル・ベゼ」があります。木や藁を使ったマルケトリー、エナメル細工、宝石セッティング、クリスタル製造技術…。グランド・メゾンはその最高級時計製造に対する同様のこだわりでもって伝統の装飾芸術を追求し、芸術性や創造性、精巧なクラフツマンシップの頂点にアトモスを昇華させます。 アトモスのムーブメントはすべて、マニュファクチュールにて開発、製造が行われ、アトモス専用工房にて手作業で組立が行われています。アトモスのメカニズムは、5週間にもわたってテスト、および調整が行われ、完成品ひとつを製造するのに8~10カ月を必要とします。 その発明から90年が経過した今も、アトモスは特別な地位を守りながら、感情で時を伝える置時計であり続けています。アトモスは、デザイン、技術力、伝統へのオマージュであり、そのフォルムの美しさ、テンプの静かな動き、機構の神秘性で人々を魅了し続けます。 ※2022年3月時点での情報です。掲載当時の情報のため、変更されている可能性がございます。ご了承ください。
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by abtmom568 | 2022-04-13 03:08

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